今更!火星移住計画(マーズワン計画)を考えてみた~必要な技術
火星移住に必要な技術
なぜ火星に移住するの?
火星に移住する計画があるのは、
- 地球環境の悪化
- 資源の枯渇
- 人類の絶滅
など色んな理由が考えられ始め、他の星に人類生存の可能性を求めた結果、地球から近く地球と似た環境を作りやすい火星が一番という研究結果が出ているからです。
実際に火星への移住は、現実的に可能なのか、どんな問題があり、何が必要なのか、などを考えてみました。
マーズワン計画とは?
マーズワン計画は、民間企業が目指した火星移住計画のことです。
計画では2013年ごろの当初、2025年までに火星に4人の人類を移住するということでした。
しかし、資金不足と技術不足が原因で断念というか、破産してしまい、散々色んなとこから資金を集めていたので『詐欺じゃないか?』という噂も絶えないまま、計画は消え去りました。
まあ民間の宇宙技術開発やロケット開発などは、なかなか敷居が高いというのも現実なので、何とも言えませんが・・・
アルテミス計画とは?
アルテミス計画は、NASA(アメリカ航空宇宙局)が現在進行し計画している、月面着陸宇宙計画です。
アメリカ政府も出資をしていて、以前に実現したアポロ計画をもう一度、という感じです。
最終目標として、アルテミス計画の先には火星移住計画があり、そのための技術開発の一歩という側面もあります。
現在の火星移住計画は?
上記で書いたように、NASAも目標としていますが、民間でも実業家のイーロン・マスクさん(スペースX社)が火星移住計画を行っています。
電気自動車ではテスラ、人工知能ソフトChatGPTではOpenAIなど、最近よく耳にするのではないでしょうか。
イーロン・マスクさんの計画では、2016年当初、具体的な年数は言われていませんが近い将来に100人など大規模に火星に人類を送り込み、40年~100年くらいの期間をかけて100万人を目指しているとのことです。
ちょっと規模がデカ過ぎで、こちらもちょっと怪しい雰囲気が・・・
火星移住には何が必要?
実際に火星に移住するとして、人類が生活するわけですから、地球と同等程度の環境が必要になります。
- 水
- 空気
- 食料
- 生活空間
- その他物資
などの物理的なものと、
- 医療
- 生産
- 娯楽
などのサービス的なもの、実際には当面のところ自給自足のような生活になると思いますが、最終的には労働社会を確立する必要があります。
火星移住の問題点
火星の重力は?
火星の重力は、地球の約38%となるそうです。
簡単に言うと、地球で100Kgのものが火星では38Kgというわけです。
体重が60Kgの人なら22.8Kgになります。
重力の問題というのは、単純に体重や物が軽くなるというだけではなく、地球の重力に適応している人類がすぐには火星の重力に適応できないということです。
人類が移住し生活をするということは、火星で子孫を残すということになるので、性行為もしなければなりません。
微量の重力でも性行為での受精は行えるという研究結果も出ているようですが、体内で正常な状態で育ち、正常な状態で産まれ、正常な状態で育つのか?
未知の領域です。
地球との時間の差は?
火星の時間というのは、1日の長さはほぼ地球と同じですが、1年の長さは地球のほぼ2倍くらいになります。
火星の自転は地球とほぼ一緒で、正確なデータがどれなのか微妙なのですが、地球の24時間に対して火星の1日の時間は37分~39分くらい多い24時間38分前後ということになります。
地球の時間というのは、地球の自転による1周を1日として、その1日を24時間で区切り、1時間を60分で区切り、1分を60秒で区切り、など地球に合わせた時間となっています。
また、地球が太陽を1周する日数が365日で、地球の1年です。
火星の1年は地球の2倍近くになり、火星が太陽を1周するには地球の1日で換算する687日で1周します。
火星の1年は、地球の1年より322日多いのです。
火星の気温は?
火星の気温は、地球との大気の違いと太陽からの距離の違いにより、
最高気温 | 約30度 |
---|---|
最低気温 | 約-140度 |
という状態で、かなり地球とは異なります。
これだけの気温差があると、火星の表面である地上(外)では多くの生命は生きられないでしょう。
火星に四季はあるの?
火星の四季も、地球と同じように春夏秋冬があります。
火星は地球と非常によく似た傾きと自転をしているので、地球と同じような四季があるのです。
しかし、火星が太陽を1周する時間は地球のほぼ2倍近くなので、火星の春夏秋冬の長さも地球の2倍近くになります。
しかも、昼間の気温が20度~30度まで上がって夜になるとマイナス120度~140度まで下がり、かなりの気温差が激しい環境なので地球と同じような季節感は味わえません。
地球のように四季があると言っても、季節の長さや気温差が全く違うので、火星では生活のリズムも大きく変わるということです。
火星の大気は?
火星の大気は、NASAの調査によると96%が二酸化炭素ということです。
しかし、二酸化炭素ということは、酸素を生成可能ということでもあります。
酸素の生成に成功できれば、火星にも大気圏のようなものが出来て、火星での気温の安定化も可能になってくるかもしれません。
ちょっと期待できそうですね。
必要な物資の確保
水や空気はどう確保するの?
火星にも水があるという可能性が、かなり高いことが確認されています。
火星に水があると仮定した場合、水を作ることができれば、酸素が生まれ、草木を育てることができます。
物資は現地調達するの?
火星にも、
- 鉄
- マグネシウム
- アルミニウム
などの金属鉱物などが確認されています。
しかし、現地調達で鉱物が確保できたとして、その鉱物から実用品を生成するためには、最初はかなり原始的な方法で行う必要がでてきます。
原始的な方法から始めた場合、重機や工場を作るまで、相当な時間と労力が必要となります。
その労力には労働者が必要になり、労働者のための食料が必要になり、労働者の生活環境が必要となります。
人類以外の移住は?
人類が火星で生活するためには、必然的に食料自給というものが必要になってきます。
そのためには、火星での農業、漁業、畜産の技術が必要になります。
農業では、米や麦や野菜などの種を火星に運び、種から育てていきます。
漁業では、海が無いので陸上養殖のような技術が必要になるでしょう。
畜産では、どの家畜を移住させるか、難しいところです。
場合によっては、細菌やウィルスなども持ち込む必要が出てくるかもしれません。
まとめ
凄く簡単に説明や課題を挙げてきましたが、これ以外にもまだまだ火星に移住するには解決する必要がある問題や山積みです。
人類が火星で生き抜くためには、地球に近い環境を火星に作り上げる必要があります。
そして、地球に近い環境を作り上げるために、火星に何を持ち込むべきか、難しいところです。
食料の確保には、何が必要で何を持ち込むべきなのか?
生活空間や生産工場を作るための物資や道具には、何が必要で何を持ち込むべきなのか?
農業
火星で農業を行うためには、コロニーを作り気温を安定させる必要があります。
気温の安定と言っても、同じ気温に安定させるのではなく、火星のような極端な温度差ではなく、地球に近い温度差の安定です。
そのためには、コロニー内の温度管理技術も必要になってきます。
コロニー内の温度管理が出来上がれば、あとは土ですが、野菜を育てるためには、ある程度の微生物の力も必要です。
火星にはこの微生物がいるのか?地球から持ち込むのか?ということも課題になります。
窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、亜鉛、マンガン、ボロン、銅、モリブデン、塩素などは微生物が分解し野菜の栄養素になったり、土の養分になったりします。
農業では、野菜やくだものを作る時に、必要な栄養素を確保し、野菜やくだものの栄養不足を回避するためには、微生物の力も必要になってきます。
漁業
火星で漁業を行うためには、農業と同じようにコロニー内で行うことになるでしょう。
しかし漁業と言っても、漁を行うのではなく、陸上養殖を行うことになります。
今現在の地球での陸上養殖技術というのは、農業や畜産に比べるとかなり遅れていて、まだ始まったばかりという状態です。
ここで、どの魚が一番適しているのかを考えてみた時に、個人的にはボラの養殖じゃないかと考えています。
ボラは実際の漁では、自然のボラは泥臭くて正直食えない魚ではあります。
しかしボラは、地球の海ではどんな環境でも育ち何でも食うので、地球上の海では一番数が多い魚とも言えます。
ということは、一番育てやすい魚とも言えるわけです。
ボラの臭みは、アユのスイカやキュウリ臭さと同じで、食べるエサのせいで臭みが出ます。
ほとんどの生物が食するものにより体臭が変わるので、ボラも食べるエサ次第で臭みを失くすことが可能ということです。
子供のボラは、臭みが弱いのでニンニクやショウガで誤魔化して食べると、非常に美味しい魚です。
この臭みが無ければ、地球では現在、臭くて食用としては嫌われている魚ですが、養殖に成功出来れば、人類の食文化を変えるほどの力と可能性を持っていると考えています。
そして火星でも、陸上養殖が行えれば、育てやすいボラなら火星に移住した人類の食を支えてくれる、頼もしい存在になるのではないでしょうか。
畜産
火星で畜産を行うためには、コロニー内でどの家畜を育てるかの選択がまず必要になります。
牛や豚の子供を移住させ、火星で育てることができれば一番良いのですが、エサの問題が大きくなります。
比較的エサの問題が低い家畜となると、やはり最初はニワトリあたりが有力な候補となるでしょう。
火星での農業に成功できれば、ニワトリを育てるためのエサの確保も可能になります。
ただ、火星の重力で、卵を正常に産んでくれて、その卵が正常に育ってくれるのか、まだまだ未知の領域です。
労働
人類が火星に移住し生活を続けていくためには、火星でも労働する必要があります。
労働するためには、労働するための道具がまず必要になります。
しかし、大昔の労働のような、スコップやツルハシなどの道具で始めるというのも気が遠くなる話しで、時間と労力が相当必要になってきます。
そこで、重機を少しずつパーツを運び、火星で組み立て動かすのですが、地球では主に燃料を必要とする重機ばかりです。
そこで、ソーラーなどの電動で動く機械が必要になってきます。
このソーラーで重機を動かすだけの馬力を出力してくれる技術も必要になってきます。
まだまだ足りない技術が、地球で実現する必要がある技術が、多いですね。
実際の火星への移住は、20xx年になるのでしょうか!