お笑いのテレビ芸と舞台芸の違い
テレビ芸と舞台芸の違い
テレビ芸とは?
お笑いのテレビ芸のことを、島田紳助さんは「スタジオ芸」とも言っていました。
紳助さんのトークの中に出てくるテレビ芸という話しから分析すると、
「ターゲットを絞った相手に対して」
- 面白い話し
- 面白い事をする
- 一発芸・大喜利
などを行う芸となります。
舞台芸とは?
お笑いの舞台芸は、単純に目の前の客を笑わすための芸です。
『単純』という言葉を使いましたが、実際のお笑い芸人の芸は単純ではありません。
めちゃくちゃ難しいです。
どっちが良い?
島田紳助さんが「紳竜の研究」というDVDのNSCの講義の中で言っていた、
「まずはM-1を取れ」
という言葉の真意として、M-1というのはあくまでもテレビに出るキッカケに過ぎないということです。
そして「紳竜の研究」の中で言っている、
「この世界は儲かるで」
というのはテレビの世界ということです。
どっちが良い?というタイトルにしましたが、M-1を取るためには舞台芸が必要です。
しかしテレビで売れるためにはテレビ芸が必要なんです。
漫才はテレビ芸?舞台芸?
漫才の基本は舞台芸ですが、現代の漫才はテレビ向きに身振り手振りしてトークする漫才も増えたので、どちらと言うのは難しいところです。
漫才のネタによって違ったり、芸人によってはテレビ芸漫才しか出来ない、舞台芸漫才しか出来ない、両方出来るなどに分かれます。
テレビの視聴者と舞台客の違い
最近のお笑いがイマイチ面白くないと感じるのは、今の芸人がこのテレビ芸というものに対して、
- あまり理解できていない
- 理解できていても出来ない
のどちらかが原因でしょう。
テレビの視聴者
テレビの視聴者には、
- 何となくテレビを見ている人
- タレントや番組が見たい人
というような2種類の視聴者がいます。
目的のタレントや番組を見たいと思って視聴している人なら、それほど技術はいらないでしょう。
しかし、何となくテレビを見ている視聴者を、
「またこの番組が見たい!」
「このタレントが見たい!」
と思わせるのは、なかなか難しいことです。
多くの視聴者がこちらの何となく見ている人の可能性が高く、タレントや芸人さんは視聴者の半分以上がこちらと考えるべきです。
舞台客
舞台客は、主にお金を払って見に来てくれる客なので、テレビで『タレントや番組を見たい!』と思って見ている視聴者より、技術がいらない人達です。
なんなら芸人がスベリまくっても満足してくれると言っても良いかもしれません。
また、目の前にいるので、タレントや芸人さんは、お客さんのリアクションで芸やトークを変えることも出来るので、比較的やりやすいでしょう。
なので、これにあまり慣れてしまうと、テレビ芸というものが凄く難しくなっていきます。
この切り替えを器用に出来るのなら良いのですが。
M-1取ったのに準備が出来ていない
M-1グランプリは2001年から行われているので、もう20回以上になります。
しかし、M-1王者やM-1の決勝に残った芸人の中で、売れている芸人は極わずかで、その中でさらに冠番組と言われるものを持っている芸人は数人(数組)という程度です。
これはなぜか?
多くの原因は、準備不足です。
M-1を勝ち取った芸人達は、M-1を取るために、舞台芸に対しては凄く努力をして勝ち取っています。
M-1を勝ち取った後は、テレビでの仕事がメインとなる芸人が多いはずです。
そこを目指していた芸人が多いはず。
テレビに出て、
- 人気者になりたい
- 売れ続けたい
- モテたい
- 金持ちになりたい
などの夢を持ってM-1を勝ち取ったはずです。
しかし、そのテレビに出るための準備が出来ていない芸人が多過ぎます。
お笑いのメジャーリーガーに!
メジャーリーガーの大谷翔平を例にすると、分かりやすいと思います。
大谷翔平は、高校生の時から既にメジャーリーガーを見据えて努力を重ねて、メジャーリーガーになるための準備をしていました。
島田紳助さんも言っていた、「漫才は甲子園でテレビを目指してるんや」という言葉。
これは島田紳助さんも、テレビを目指して準備をしていたということです。
もちろん甲子園に出て活躍したり優勝すれば、プロやメジャーには行けるでしょう。
しかし、プロやメジャーに行けても、プロやメジャーで活躍できる人は極わずか。
お笑いでも野球でも、M-1や甲子園を勝ち取った後への準備もしなければいけない。
M-1や甲子園を勝ち取ったら、勝手にプロの世界でも活躍できるなんて、プロの世界はそんなに甘くはありません。
これからM-1を勝ち取ってテレビで売れて人気者になりたいという芸人達は、お笑い界のメジャーリーガーになるために、しっかりテレビ芸という準備をして欲しい。
テレビで舞台芸に逃げる
テレビの収録の時に、スタジオではスタッフが芸人がやりやすいように、笑ってあげるようなことをしていると聞きます。
また、スタジオ内にお客さんを入れてトークをすることもあります。
なので芸人は、自分の実力が無いと、舞台芸に逃げてスタッフやスタジオ内のお客さんを笑わすことで満足してしまいます。
そこに満足し続けてしまうと、視聴者そっちのけの番組になってしまうので、番組は短命で終わり、そこに出演していたタレントや芸人さんの人気も落ちるというわけです。
なので、テレビが面白くなるためにも、若手の芸人さん達には、常にテレビ芸を意識して芸を磨いて欲しいものです。